【美容師監修】抜け毛の毛根でわかる薄毛・細毛の危機。正常な抜け毛と危険な抜け毛の違いとは

掲載日:2020.03.17 更新日:2020.08.27

この記事の監修 伴亮(ばん りょう) 美容師・ヘアメディカルサロン店長

「髪が抜ける」それ自体は、髪の成長サイクル“毛周期”によって起こる生理現象です。
しかし抜け毛の中には、将来的な薄毛・細毛のリスクを表すリスキーなものがあります。薄毛・細毛の予防のためには、正常な抜け毛とリスキーな抜け毛の違いを知り、危険信号にいち早く気づくことが大切です。

そこで今回は、ヘアメディカルサロンの店頭、伴亮(ばん りょう)さんにその見分け方や、抜け毛を考える際にキーポイントとなる毛周期について伺いました。

「正常な抜け毛」か「薄毛を招く抜け毛」かは、抜け毛の状態でわかる

“正常な抜け毛”は、毛周期サイクルに沿って抜け落ちたもの

どんな人でも毎日生え変わる髪の毛。健康な毛根の方でも、約10万本生えている髪の毛の中で1日に50本から100本ほどが抜けると言われています。髪の毛は生え始めから2年~6年の中で「成長期・退行期・休止期」という成長過程を経て、新しい髪へと生え変わります。このサイクルを「毛周期」と言います。
正常な毛周期を経て成長しきってから抜け落ちた「正常な抜け毛」は、太く長く、付け根に毛根が残っているのが特徴です。

“薄毛リスクの高い抜け毛”は、毛周期の乱れにより成長しきる前に抜けてしまったもの

ふと見たらパソコンのキーボードやデスクの上に細くて短い毛が落ちている……そんな経験はありませんか?
このような抜け毛が増えてくると薄毛の危険信号。これは、次の新しい毛が生える前に毛が抜けている状態。毛周期の乱れによって成長しきっていない髪の毛が抜けてしまっているのです。このような状態が続くと、薄毛は進行していきます。こうして抜けた「不正常な抜け毛」は、細くて短く、付け根に毛根がありません。

抜け毛の状態に目を向けてみて

お客様から抜け毛や薄毛についてご相談を受けた際は、頭皮のタイプや炎症、髪の毛の太さ・長さ・状態など総合的に判断して、最適な改善策をアドバイスしています。
個人でここまで確認するのはなかなか難しいと思いますが、抜け毛の状態を把握することで、薄毛につながる危険な抜け毛か、そうでないかを判断することは可能です。
お風呂で髪を洗うときや鏡の前でドライヤーやブラッシングをするときなど日々の生活の中で、こまめにチェックを。

薄毛を招く、毛周期の乱れ……毛周期が乱れる2大要因とは

ここまででご説明したように、毛周期の乱れは抜け毛の原因となり、それが薄毛を招きます。ではなぜ毛周期が乱れるのでしょうか?大きく分けて「加齢」「生活習慣」という2つの要因が関係しています。

1 加齢

年齢を重ねると細胞の働きが低下して代謝が落ちるように、毛周期も少しずつ変化してきます。加齢とともに「休止期」が延長すると言われており、新しく生える髪も細くなっていく傾向にあります。遺伝なども関係するため個人差はありますが、どんな人でも加齢によって髪の量や質は変わっていくのです。

2 生活習慣

不健全な生活習慣が続くと、毛周期が乱れやすくなります。特にリスクファクターとなるのは、「食生活の乱れ」「睡眠不足」「運動不足」「ストレス」の4点です。抜け毛・薄毛のお悩みを受けた際にも、これらの生活習慣に関するヒアリングを行い原因を探っていきます。

・食生活の乱れ

インスタント食品・レトルト食品・ファーストフードなど、栄養の偏った食生活は、体の健康を損ねるばかりでなく髪にもよくありません。こういった糖分や脂分が多い食品を摂りすぎると、皮脂が過剰に分泌され、毛周期の乱れを招きやすくなります。食生活の乱れが見られる方には、糖分や脂分の多い食事は控え、良質なタンパク質を含む大豆製品や魚類、ビタミンやミネラルを含む野菜などを積極的に摂るようアドバイスしています。

・睡眠不足

髪の毛は、成長ホルモンの分泌が盛んな睡眠中に最も成長すると言われています。十分な睡眠がとれていなかったり就寝時間が不規則だったりすると、成長ホルモンの分泌量が減って髪も成長しにくくなってしまいます。睡眠不足、または睡眠時間が不規則な方には、毎日できるだけ同じ時間に就寝し、しっかりと睡眠をとるようにお伝えすることが多いですね。

・ストレス

精神的なストレスによって自律神経が乱れると、頭皮に十分な栄養が行き届かなくなってしまいます。抜け毛の少ない健康的な毛根の状態を保つためにも、自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスマネージメントを心がけることが大切です。とはいえ、私たちはあくまで美容師ですので、ストレスが原因の場合は、心療内科など専門家に頼るのが正解かもしれません。

・季節・環境の変化

美容師として長年働いている中で、抜け毛・薄毛の原因として特に多いと感じているのが季節的な要因です。
具体的に言うと、「秋」に抜け毛が増えるお客様が多くいらっしゃいます。気温が下がることで自律神経が乱れ、毛周期に何らかの異常が発生するのだと考えています。また、生活環境の変化も見逃せません。引っ越し・転職などの直後に抜け毛や薄毛が増える方も多いですね。

毛周期の乱れは、頭皮の状態からもわかる! チェック方法

毛周期が乱れていると、頭皮の状態に変化が現れる

毛周期が乱れているかどうかは、頭皮の状態からもわかります。
とはいえ、例えば、「頭皮が乾燥している人は毛周期が乱れている」などと、一概に言うことはできません。生まれつき乾燥肌の人は頭皮も乾燥している傾向にありますが、だからといって毛周期が乱れているわけではないのです。実際に、私のお客様にも、頭皮は乾燥しているけど、毛量は多く髪質も良いという方もたくさんいます。

見逃したくないポイントは、頭皮状態の「変化」です。例えば、もともと乾燥気味だった頭皮がベタつきやすくなり、髪が束っぽくまとまるようになってきたら、それは要注意。食生活などに問題があり、それが頭皮に表れている可能性があります。

毛周期の乱れに気づくために。頭皮のさわり心地をチェックして

頭皮の変化に気づくための一番簡単でわかりやすい方法は、頭皮をさわることです。
頭皮を十本の指でさわったとき、動かせるほどの柔らかさがあれば、髪が成長しやすい状態だと言えます。逆に、頭皮が硬くなっていると健康な頭皮環境とは言えません。

頭皮の柔らかさの確認は、私を含め、美容師も現場で実践している方法です。とても簡単なので、ぜひ試してみてください、毎日シャンプーをするときやブラッシングをするときに自分の頭皮をさわって、硬さを確かめましょう。毎日さわっていれば状態の変化に気づくことができるはずです。

頭皮の状態の変化には、生活習慣・ヘアケアの見直しも◎

「頭皮が硬いな」「いつもと違うな」と感じたら、毛周期が乱れているかもしれません。

もし毛周期の変化を感じたら、正しい毛周期に戻せるよう、生活習慣を見直してみましょう。積極的なヘアケアも取り入れて。使っているシャンプーやスタイリング剤を見直すのも良い方法です。

毛周期の変化を早めに感じ取り、薄毛が進行する前に対策が立てられるように、抜け落ちた髪の毛と頭皮の状態を細めにチェックしてみてください。

また、私の場合、ヘアスタイルを変えることでボリュームをアップさせたり、カラーを入れることで違和感をなくすなど、髪型を変えるという方法でも抜け毛・薄毛・細毛の悩みにアプローチしています。抜け毛・薄毛・細毛が気になる方は、生活習慣を見直しつつ、ぜひ美容師に相談してみてください。

この記事の監修 伴亮(ばん りょう) 美容師・ヘアメディカルサロン店長

横浜ビューティーアート専門学校を卒業後、カット専門サロンで経験を積み、現在はヘアメディカルサロンの店長。ヘアメディカルサロンと同フロアには、AGAの治療・AGAの専門のDクリニック東京が併設。髪や頭皮に優しいカラーを取り入れた施術が人気の美容院。