「ミノキシジルをやめた」その後はどうなる? AGAは再発する?

掲載日:2020.03.24 更新日:2020.03.27

この記事の監修 アンファー株式会社

ミノキシジルをやめると身体にどんな変化が起きるのか?


「ミノキシジルをやめるとどうなるのか?」ミノキシジルをやめると、身体にどのような変化が起きるのでしょうか?
改善されていたAGAは、再発するのでしょうか?
AGAの病態やミノキシジルのメカニズムを理解すれば、ミノキシジルをやめた後の変化も理解できるでしょう。 「ミノキシジルをやめるとどうなるのか?」ミノキシジルをやめると、身体にどのような変化が起きるのでしょうか?
改善されていたAGAは、再発するのでしょうか? AGAの病態やミノキシジルのメカニズムを理解すれば、ミノキシジルをやめた後の変化も理解できるでしょう。

(このコラムのポイント)

  • 「ミノキシジルをやめた」その後どうなるのか。
  • AGAの病態について
  • AGAとQOL(生活の質)について
  • ミノキシジルの効果について
  • ミノキシジルの副作用について
  • ミノキシジルをやめた後の身体の変化について

「ミノキシジルをやめた」その後は、どうなるの?

AGA治療薬として定評のある「ミノキシジル」。 その発毛効果は高く、ミノキシジル外用薬では使用者の約98%で、発毛効果が確認されたという研究データもあります。 そのため、ミノキシジルを愛用する人も多いようですが、一方で次のような疑問を持つ人も少なくないようです。

「もし、ミノキシジルをやめたら、その後はどうなるの?」

もし、なんらかの理由で、ミノキシジルの使用を中断したり、止めた場合には、どうなるのでしょうか?

AGA治療の途中でミノキシジルをやめたら、抜け毛は増えるのでしょうか?
副作用のためにミノキシジルをやめた場合には、副作用は治まるのでしょうか?
ミノキシジルの使用で発毛が回復した場合、ミノキシジルをやめたらまたAGAが進行するのでしょうか?

「ミノキシジルをやめた」その後どうなるのかを、症状別に解説します。

ミノキシジルをやめた後のことを知る前に(1)/そもそも「AGA」とは何?

「ミノキシジルをやめた」その後のことを説明する前に、AGAについて復習しておきましょう。

AGAの病態

AGAとはandrogenetic alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」と訳されます。
医学論文や英文コラムなどでは、近年はmale pattern hair lossと表記されることも増えてきました。

AGAは、思春期以降にはじまって、前頭部と頭頂部の毛髪が“軟毛化”して、徐々に細く短くなり、最終的には額の生え際が後退して、頭頂部全体の毛髪がなくなってしまう現象です。

(参照|「男性型脱毛症治療の現状と今後の展望」坪井良治(2009)

AGAは「ヘアサイクル(毛周期)」のリズムを壊す

毛髪には「ヘアサイクル(毛周期)という、成長のリズムがあります。

<健康なヒトの毛髪のヘアサイクル>

成長期(2~6年):毛母細胞が増殖して毛髪をつくっている時期
退行期(2~3週間):成長が不活発になり、退縮する時期
休止期(3~4か月):成長が完全に止まり、脱毛する時期
(参照|「男性型脱毛症の治療薬」盛岡進(2010))

健康なヒトでは、毛髪の全体の85%が「成長期」にあるため、毎日抜け毛があっても、全体としてはフサフサを保っています。

しかし、AGAになると、「成長期」が極端に短くなって、「成長期」の初期からいきなり「退行期」へと移行してしまいます。

そのため、毛髪は長く育たず、太くもなりません。これが“軟毛化”です。
また、毛包も大きく育つことができずにミニチュア化(矮小化)して、「休止期」から「成長期」へ移行する率も減っていきます。
つまり、新しい毛髪が生えてこなくなるのです。

AGAとQOL

ところで、AGAについて、日本皮膚科学会がまとめた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」には、下記のような記載があります。

(引用)(AGAによる)脱毛は生理的な現象ではあるが、外見上の印象を大きく左右するのでQOL(Quality of Life)に与える影響は大きい。(引用ここまで) (参照|日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」)

「QOL(Quality of Life)」とは、「生活の質」ともいわれ、近年、医療現場では重要なキーワードの1つとなりました。
かつての医療は、「死なないようにする」ことが大きな目的で、そのうえで「痛みや苦痛・不快感を軽減・取り除く」ことに重点が置かれていました。

しかし、WHO(世界保健機構)が、健康を「単に疾病がないということではなく、完全に身体的・心理的および社会的に満足のいく状態にあること」と定義しているように、身体的苦痛を取り除くことだけが医療の目的ではなく、QOLの維持・改善も治療の対象なのです。

(参照|「総論-QOLの概念とQOL研究の重要性」土井由利子(2004)

AGAはボディイメージを低下させる?

一方、皮膚科領域では、「皮膚のボディイメージ」とQOLの関係についての研究も行われています。
「皮膚に関するボディイメージ」とは、「自分自身の皮膚、毛髪、爪の外見についての内部からの見方」のことで、否定的なボディイメージはその人の社会生活にマイナスの影響を与えるため、QOLの低下につながると考えられます。

つまり、AGAによって頭髪にマイナスのイメージを持ってしまうと、その人のQOLが低下してしまうということです。
したがって、「AGAは生理現象だから仕方ない」とあきらめるのではなく、治療によってAGAを改善することは医学的にも意義のあることで、その人のQOLを向上させて人生を豊かにする方法の1つなのです。
(参照|「皮膚疾患とQOL・ボディイメージ」檜垣祐子(2017))

ミノキシジルをやめた後のことを知る前に(2)/ミノキシジルはなぜAGAに効果があるのか?

さて、「ミノキシジルをやめた」その後のことを知る前に、ミノキシジルの発毛のメカニズムについて理解しておきましょう。

<ミノキシジルの発毛のメカニズム>

  • 毛母細胞・毛乳頭細胞の増殖を促進する。
  • 毛包のミニチュア化を抑制する。
  • ヘアサイクルの「休止期」の毛包を、「成長期」へと移行させる。
  • ヘアサイクルの「成長期」の期間を延長させる。

ミノキシジルは毛母細胞や毛乳頭細胞に直接作用して、AGAで乱れていたヘアサイクルを改善し、その結果、発毛を促し、毛髪を長く、太く育てるのです。

ミノキシジルには塗り薬と飲み薬がある

ところで、ミノキシジルには、内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があります。
一般的に、AGAの治療に用いられるのはミノキシジル外用薬の方です。日本でも一般用医薬品として製造・販売されているため、薬局やドラッグストアなどで購入することができます。

ミノキシジル内服薬は、本来、高血圧症治療薬として処方されるものです。
しかし、ミノキシジル内服薬にも発毛効果があるため、一部のAGA専門クリニックでは、AGA治療薬としてミノキシジル内服薬を処方するところもあるようです。

ミノキシジルは「硫酸ミノキシジル」に代謝されて、より活性化!

ミノキシジル外用薬は、頭部に塗られたミノキシジルが頭皮で「硫酸ミノキシジル」というより活性の高いものに代謝(変化)して、毛母細胞や毛乳頭細胞に作用します。

一方、ミノキシジル内服薬は、消化器から吸収されたミノキシジルが、肝臓で「硫酸ミノキシジル」に代謝し、血液や体液で頭皮に運ばれて、毛母細胞や毛乳頭細胞に作用すると考えられています。

ミノキシジルの副作用

ミノキシジルを使用した場合に、副作用が発現する可能性もあります。
その副作用は、ミノキシジル外用薬とミノキシジル内服薬で少し異なります。

ミノキシジル外用薬でもっとも多いのが、塗布部分の頭皮の発疹・発赤やかゆみ・かぶれなどの皮膚症状です。 これは、ミノキシジル外用薬の溶剤として使用されているアルコール(エタノールやグリセリン)や、外用薬に含まれる添加物に対する過敏症状やアレルギーによるものが多いと考えられます。

一方、ミノキシジル内服薬によって発現する副作用は、体液の貯留に起因するものが多いようで、手足のむくみや急激な体重増加のほか、頻脈や呼吸困難などもそれに含まれます。

<ミノキシジル外用薬のおもな副作用>

関係部位 症状
皮膚 頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、フケ、使用部位の熱感など
精神神経系 頭痛、気が遠くなる、めまい
循環器 胸の痛み、心拍が速くなる
代謝系 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ

(参照|スカルプD メディカルミノキ5(添付文書)より)

<ミノキシジル内服薬の副作用>

  • 心拍数の増加:安静脈拍が20回/分以上増える場合。
  • 急激な体重の増加:服用開始後5ポンド(約2.3kg)以上増えた場合。
  • 顔・手・足首または腹部(胃のあたり)のむくみや腫脹
  • 胸部・腕・肩などの痛み
  • 重度の消化不良の兆候
  • めまい、頭のふらつき、失神

(参照|LONITEN「添付文書」(米国))

ミノキシジルをやめたらどうなるの?

さて、ミノキシジルの使用を止めた場合、身体にどんな変化が現れるのか、解説していきましょう。
以下のことを念頭に起きながら解説を読むと、よく分かるでしょう。

  • AGAになるとヘアサイクルが乱れる。
  • ミノキシジルはヘアサイクルを改善する。
  • ミノキシジルで副作用が発現することもある。

ミノキシジルをやめたらーーー「抜け毛が増える?」

ミノキシジルをやめた後、抜け毛が増えることがあるのでしょうか?
ミノキシジルの使用で発毛効果が確認されていたケースでは、ミノキシジルの使用を止めると、ミノキシジルによって改善されていたヘアサイクルが再び乱れる可能性があります。
すると、抜け毛は増えてしまうでしょう。
ミノキシジルの使用を止めると、抜け毛が増える可能性があります。

ミノキシジルをやめたらーーー「髪質が変化する?」

ミノキシジルをやめた後、髪質が変化することがあるのでしょうか?
ミノキシジルを使用すると乱れていたヘアサイクルが改善されて、「成長期」の期間が長く維持されるようになります。
「毛包」の大きさは、「成長期」の長さにほぼ比例するといわれていますが、毛包が大きくなるとそれに比例して毛髪も太く育ちます。

しかし、ミノキシジルを止めたことで「成長期」が再び短くなってしまうと、毛包も育たず、毛髪も細いままになります。
すると毛髪のコシもなくなり、軟毛化してしまいます。 ミノキシジルの使用を止めると、髪質が変化する可能性があります。

参照|「男性型脱毛症の治療薬」盛岡進(2010)

ミノキシジルをやめたらーーー「副作用がなくなる?」

ミノキシジルをやめた後、副作用はなくなるのでしょうか?

ミノキシジル外用薬の使用で、皮膚症状の副作用が発現していた場合、ミノキシジルの使用を止めると、副作用は改善します。
また、ミノキシジル内服薬によって副作用が発現していた場合でも、使用を止めると副作用が改善すると思われますが、ただし、改善までには少し時間がかかる場合もあるかもしれません。

たとえば、ミノキシジル内服薬によって全身の多毛が起こった場合には、ミノキシジル内服薬の服用を止めてから副作用が消えるまでに1~6か月かかることもあるようです。
いずれにしても、ミノキシジルの使用を止めると、副作用は改善します。

ミノキシジルをやめても副作用が治らない場合は、別の原因がある可能性も

ミノキシジルには、使用をやめてからも症状が出るような後遺症の報告はありません。

したがって、副作用だと思っていた症状が、ミノキシジルの使用をやめても改善しない場合、その症状はミノキシジルによって発現していたのではなく、別の原因によって引き起こされていた可能性もあります。

ミノキシジルをやめたらーーー「AGAは治る?」

ミノキシジルをやめた後も、AGAは治るでしょうか? ミノキシジルの発毛効果によって、AGAの進行が止まっていた場合に、ミノキシジルの使用をやめるとどうなるでしょうか?

ミノキシジルの作用でヘアサイクルが改善した場合、ひょっとすると、ミノキシジルの使用を止めてもしばらくはヘアサイクルが正常なまま維持されるかもしれません。

しかし、AGAは加齢とともに進行します。
またしばらくするとヘアサイクルが乱れだし、抜け毛が目立つようになることは充分考えられます。
ミノキシジルの使用を止めた後、一時的にAGAが治ったように思われることがあるかもしれません。
しかし、やがてまたAGAの進行が始まる可能性が高いでしょう。

なぜ「ミノキシジルをやめたい」のか?

ミノキシジルの使用を止めても、しばらくの間は健全なヘアサイクルが維持され、発毛効果も続くかもしれません。

しかし、やがては元に戻り、AGAの進行が進むことの方が多いでしょう。 「ミノキシジルをやめたい」と思う理由は、いろいろあると思います。

毎日の治療が面倒になったり、忙しくてできないこともあるでしょう。
思ったほどの効果が得られずに、がっかりする人もいるかもしれません。
あるいは、ミノキシジルの購入費用が負担になることも。

しかし、継続は力なりともいわれます。

もし、ミノキシジル治療で迷ったことがあれば、AGA専門クリニックの医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか?
より効果的な使用方法のアドバイスが得られるかもしれません。
生活習慣の見直しを行うことで、ミノキシジルの効果が高くなることも知られています。

AGA治療は耐久レースのようなものです。 あなたのQOL改善のためにも、長期的な視野に立ったミノキシジル治療を続けてください。

【まとめ】

AGA治療薬として定評のある「ミノキシジル」。
そのミノキシジルをやめた場合の身体の変化について、ご理解いただけたでしょうか。
ミノキシジルの効果でヘアサイクルが改善され、発毛が起きていた場合、ミノキシジルの使用を止めると、やがて、AGAの進行が再び始まることになるでしょう。
薬は正しく使ってこそ、正しい効果が得られるものです。
焦らず、慌てず、ミノキシジルと末永くつきあっていきましょう。

この記事の監修 アンファー株式会社

○事業内容
化粧品・サプリメント・健康食品・専門医師監修によるクリニック専売品などのオリジナルエイジングケアプロダクツの研究開発及び製造・販売・卸業務。

○研究開発・製造
エイジングケア分野のNPO法人・研究団体の活動を支援するとともに、専門医師・大学機関との共同研究を通じ、研究・開発を進め商品を製造。