円形脱毛症とは?種類や原因、治療法やセルフケアについて解説

掲載日:2021.01.13 更新日:2021.01.16

この記事の監修 アンファー株式会社

円形脱毛症は、円形に脱毛するだけでなく、複数の箇所が脱毛する多発型や、頭髪全てが抜け落ちる全頭型などさまざまな種類があります。今回は、円形脱毛症の種類はもちろん、原因や治療法、どこの病院に行けばよいのかについてもご紹介します。予防・対策のためのセルフケアも解説しますのでチェックしましょう。

円形脱毛症とは?

円形脱毛症とは、その名の通り「円形の脱毛」が起きる病気です。コインのような円形に脱毛が起こることが多いことから、「10円ハゲ」などと言われることも。

脱毛する範囲は、数ミリ程度の小さいものもありますが、数センチや複数の箇所が脱毛、頭髪全体や全身の毛が抜けることもあります。

ヘアサイクルの成長期にある一部の範囲の毛が、一斉に細胞増殖を停止し、毛幹の成長が止まり休止期となることで起こります。部分的にまとまって毛が抜けるために、抜けた箇所が目立ってしまうのも特徴です。

円形脱毛症の種類

円型脱毛症は、一ヶ所にできる場合や、複数の場所にできる場合などさまざまな種類があります。

通常型 単発型 ・初期症状として最も多い症状
・円形・楕円形の脱毛斑が1ヶ所現れる
・発症後1年以内で、回復することがあり、自宅で経過を観察することが多い
多発型 ・単発型の脱毛斑が、数箇所に現れる
・2つ以上の脱毛斑が繋がり、長く大きな楕円形になることもある
・治療が半年〜2年などの長期となることが多い
蛇行型 ・蛇の形のような帯状に、毛髪が抜けてしまう症状
・部位としては、後頭部〜側頭部に現れることが多い
・数年にわたる長期の治療が必要となることがある
全頭型 ・頭の全域に脱毛斑が広がり、頭髪がすべて抜けてしまうこともある
・円形脱毛症が進行した状態
・長期にわたる治療が必要
汎発型 ・症状が進行し、頭部にある髪だけでなく、眉毛や体毛など全身の毛が抜けてしまう
・円形脱毛症の中でも最も症状が重いと考えられる
・長期にわたる治療が必須

円形脱毛症の原因

  • 遺伝
  • ストレス
  • アトピー性疾患
  • 自己免疫疾患
  • など

①遺伝

円形脱毛症の発症には、遺伝の要素が関係すると考えられています。欧米の調査では、一親等内で、発症していない場合に比べ約10倍多く発症しており、一卵性双生児で、55%の確率で両方が円形脱毛症を発症していたことが確認されています。

また中国では、円形脱毛症を発症した人の家族の8.4%が発症していて、その中でも血縁が近いほど発症率が高くなっていると報告されています。

②ストレス

長期間に過剰な精神ストレスがかかることで、交感神経に異常をきたすことがあります。血管収縮が起きて頭皮の血流が悪化し、脱毛症状を引き起こす恐れも。ホルモンバランスも乱れ、頭皮だけでなく全身の体調不良を起こす可能性もあるでしょう。

ただし、精神的ストレスと「円形脱毛症」が関係するかは、いまだ議論され続けており、ストレスが引き金と断言できる段階には至っていません。

③アトピー性疾患

アトピー性皮膚炎や、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくといったアトピー性疾患を持っている人が円形脱毛症を発症するケースも多いことから、これらは関連があると考えられています。

日本の調査では、円形脱毛症を発症した200人のうち、アトピー性疾患になりやすい因子とされる「アトピー素因」を持っている割合は41%となっています。 さらにアトピー疾患を持つ人の円形脱毛症の種類としては、単発性が13%、多発性が33%、蛇行性が57%となっているため、発症した場合に重症化する傾向があるといえるでしょう。

④自己免疫疾患

近年、円形脱毛症の原因として最も有力視されているのが、自己免疫疾患です。体内の免疫細胞であるTリンパ球が、髪を生やす組織である毛根部分を攻撃して円形脱毛症を発症する、というものです。

そもそも免疫細胞は、ウイルスなどの外敵が体内に入った時に体を守るためにあります。しかし外から入ってくるものではなく、自分自身の組織を攻撃してしまうことで自己免疫疾患を起こしてしまうのです。免疫がこのような動きをする理由は、まだ解明されていません。

円形脱毛症は治らない? 治療について

円形脱毛症は、正しい治療で回復が期待できます。どのような治療を行うかご紹介します。

円形脱毛症は病院?何科に行くべき?

円形脱毛症は、病院で診断を受け、治療を行うことができます。皮膚科や毛髪外来、円形脱毛症の治療を専門とするクリニックなどに相談に行くとよいでしょう。 今は単発型でも、併発型などに発展することもありますから、専門医に診断を仰ぎ適切な治療を受けることが大切です。また、円形脱毛症の治療は保険適用となるので、経済面でも安心です。

円形脱毛症で推奨される治療法や薬

円形脱毛症で推奨されている治療法や薬は、以下のようなものがあります。種類や症状によって異なる場合もあるので、医師に相談しながら進めていきましょう。

  • ステロイド局所注射
  • 局所免疫療法
  • 外用薬
  • 冷却療法
  • など

①ステロイド局所注射

日本皮膚科学会で確認されている円形脱毛症の治療法の中で、信頼性が高いとされているのがステロイド局所注射です。

ステロイドは、炎症や免疫機能の抑制など皮膚の病気で使用・処方される薬です。円形脱毛症の発症が、自己免疫反応が原因であると考えられる場合には、脱毛部分に直接ステロイドを注射する治療法が選択されることがあるでしょう。 多発型を発症した成人に対して行うことが多いですが、単発型でも症状が改善しない場合に選ばれることもあります。

ただし効果が出る範囲が狭いことから、脱毛が広範囲に渡っている場合にはこの治療は向きません。また、腎臓障害や免疫力低下などの副作用が起こる可能性もあり、医師の診断のもと慎重に行う必要があります。

②局所免疫療法

局所免疫療法は、ステロイド局所注射と同様に日本皮膚科学会で確認されている円形脱毛症の治療法の中で、信頼性が高いとされている治療法です。

脱毛している部分に人工的にかぶれを起こす薬を塗り、弱いかぶれを起こすことで正常な免疫反応を誘発し、発毛を促します。広範囲に脱毛が広がっている場合にも有効で、子供でも治療が可能な上、有効率も過半数を超えていることから、最も有効な治療法と言われています。

ただし、治療のために何度かの通院が必要で、治療できる病院も限られています。

③服用薬

ステロイドや、抗ヒスタミン薬などを服用して治療する方法もあります。ステロイドの内服は、注射と同様に高い効果が実証されていますが、成人のみの使用に限られています。抗ヒスタミン剤は、花粉症などのアレルギー症状を抑える効果があり、アトピー性疾患を持つ円形脱毛症の患者の脱毛範囲が小さくなる効果が認められています。

④冷却療法

ドライアイスなどで、脱毛している部分を冷却し、免疫細胞の活動を抑える治療法です。患部にドライアイスを当てるため痛みは生じますが、副作用が少ない治療法とされています。

円形脱毛症を予防・対策するためのセルフケア

  • バランスのよい食生活
  • 適度な運動
  • 充分な睡眠時間
  • ヘアスタイルを変える
  • など

まず、バランスのよい食生活を心がけ、タンパク質、ミネラルなど髪の成長に良いとされる栄養素を積極的に摂りましょう。血行不良は、栄養が頭皮に届きにくくなってしまいます。適度な運動を習慣づけてください。睡眠中は細胞の修復を行ってくれますから、充分な睡眠時間を確保しましょう。

また、脱毛部分を人に見られることで、ストレスを抱えてしまう人も少なくありません。脱毛部分が頭頂部であればオールバック、側頭部であれば分け目を七三分けにすることで、隠すことができるでしょう。美容師や理容師に、脱毛箇所を隠したいと相談をするのがおすすめです。また、ヘアスタイルでカバーしきれない時には増毛パウダーや部分かつらを検討するのもよいでしょう。

円形脱毛症の種類や原因を知り、正しく治療しよう!

円形脱毛症の種類や原因についてご紹介しました。遺伝やストレス、アトピー性疾患なども原因と言われていますが、現在のところ有力とされているのが自己免疫疾患です。

治療法は、脱毛種類や年齢などによって異なりますが、皮膚科や毛髪外来、円形脱毛症の治療を専門とするクリニックに行き、正しく診断してもらうことが大切です。医師の指導のもと、治療を行いましょう。

また、円形脱毛症を予防、対策するために、バランスの良い食生活や適度な運動など生活習慣の改善と行うとよいでしょう。

この記事の監修 アンファー株式会社

○事業内容
化粧品・サプリメント・健康食品・専門医師監修によるクリニック専売品などのオリジナルエイジングケアプロダクツの研究開発及び製造・販売・卸業務。

○研究開発・製造
エイジングケア分野のNPO法人・研究団体の活動を支援するとともに、専門医師・大学機関との共同研究を通じ、研究・開発を進め商品を製造。